IP定格(IP Rating)とは何か?なぜIP69Kは屋外モバイルロボットや自律走行車にとって必須なのか?
屋外モバイルロボットや自律走行車の開発において、最も費用のかかる失敗の一つは、過酷な環境に耐えられないカメラを選んでしまうことです。
高圧洗浄後に故障するカメラ。
塵埃が侵入し、ダウンタイムを引き起こすカメラ。
これらの2つの故障は、突き詰めると一つの原因にたどり着きます。それは、不十分なIP保護(国際保護等級)です。
屋外モバイルロボット、自律走行車、またはあらゆるタイプの無人車両のカメラを選定する際、IP67とIP69Kの違いを理解し、それが現場での運用にどのような影響を与えるかを把握することは、単なる技術的知識の習得にとどまりません。それは、信頼性、安全性、そして長期的なコストに直接影響を与える決定です。この記事では、IP定格を明確に理解し、最も一般的な2つの規格を比較し、oToBrite社がどのようにして実環境での真のIP69K性能を検証しているかをご紹介します。
IP定格(IP Rating)とは?
カメラにIP67やIP69Kといったラベルが表示されている場合、この「IP」は単純にIngress Protection(侵入保護)を意味します。言い換えれば、そのデバイスが塵や水をどれだけ効果的にシャットアウトできるかを示しています。屋外のロボットや車両は、雨、泥、湿気、塵埃の中で動作するため、IP定格は、そのカメラがこうした環境に耐えうるかどうかを理解するための最も簡単な方法の一つです。
IP規格には2つの数字があり、最初の数字は、ほこりや砂などの固体異物に対する保護レベルを示します。2つ目の数字は、雨や水たまり、飛沫、さらには高圧洗浄など、水に対する耐性レベルを表します。
そのため、カメラが「防水」なのか「防塵」なのかを推測する必要はありません。IP規格を見ることで、どの程度の保護性能を備えているかを明確かつ標準的に把握できます。水が内部に侵入せず、過酷な環境でも問題なく動作するカメラを選ぶための指標になります。

IP等級表
| 防塵保護 | 1桁目 | 2桁目 | 防水保護 |
| 保護なし | 0 | 0 | 保護なし |
| 大きな物体(>50 mm)から保護 | 1 | 1 | 鉛直方向からの落下水に対して保護 |
| 指などの類似物体(>12.5 mm)から保護 | 2 | 2 | 15°まで傾けた状態での落下水に対して保護 |
| 工具やワイヤー(>2.5 mm)から保護 | 3 | 3 | 60°の角度までの噴霧水に対して保護 |
| ほとんどの小さな物体(>1 mm)から保護 | 4 | 4 | あらゆる方向からの飛沫水に対して保護 |
| 多少の粉じんが入る可能性はあるが、動作に影響しない | 5 | 5 | あらゆる方向からの低圧噴流に対して保護 |
| 完全な防塵(粉じんの侵入なし) | 6 | 6 | 高圧噴流に対して保護 |
| 7 | 一時的な浸水(1m・30分まで)に対して保護 | ||
| 8 | 継続的な水中浸漬に対して保護 | ||
| 9 | 高圧かつ高温の噴流に対して保護 |
IP67 と IP69K の違いとは?
IP67 と IP69K は、屋外用モバイルロボットや車載カメラでよく見かける代表的な防護等級です。どちらも防塵・防水性能を備えていますが、それぞれ想定する環境や用途が異なります。
- IP67 カメラは完全防塵で、一時的な浸水に耐えることができます。例えば、水たまり、雨、あるいは深さ1m程度の水中に短時間落下した場合でも問題ありません。
つまり、IP67 は短時間かつ浅い水への耐性はありますが、高圧洗浄や長時間の水没には対応していません。 - IP69K カメラも完全防塵ですが、さらに一歩進んだ性能を持っています。高圧・高温の洗浄に耐えられるよう設計されており、重機、建設・鉱山機械、農業ロボット、ロボタクシーなど、高圧洗浄が日常的に行われる環境に適しています。IP69K は通常、IP68 のように「長時間の水中使用」を目的とした規格ではありませんが、近距離からの強力な高圧水流でも水の侵入を防ぐため、過酷な洗浄や厳しい屋外環境に非常に適しています。
まとめると、水に対する耐性が大きな違いです:
- IP67 = 雨・水たまり・短時間の水没に強い
- IP69K = 高圧・高温の水流や洗浄に強い
屋外で稼働するモバイルロボットや自動運転車では、この違いは非常に重要です。IP67 だけのカメラは、高圧ホースで洗浄されたり、強い水流がかかる環境では故障する可能性があります。一方、IP69K カメラは高圧洗浄にも耐えられるため、過酷な条件下でも高い信頼性を発揮します。
なぜカメラでは IP68 が IP67 や IP69K ほど一般的ではないのか?
スマートフォンで IP68 を見かけることはありますが、ロボットや車載カメラではあまり採用されていません。その理由はシンプルで、IP68 は「継続的な水中浸漬」に重点を置いた規格だからです。一定の深さで長時間水没させても動作できることを想定しており、これは一般消費者向けデバイスには有効ですが、カメラ用途にはあまり適していません。
モバイルロボット、自動運転車、重機などに搭載されるカメラが直面するのは、ほこり、泥、雨、振動、高圧洗浄といった環境であり、長時間の水中使用はほとんどありません。
そのため、カメラを IP68 に対応させると、コストや設計の複雑さが増す一方で、実運用上のメリットはほとんどありません。
oToBrite が定義する「本物の IP69K」とは?
市場で「IP69K」と表示されている製品の中には、試験条件が不十分で、実際の使用環境に耐えられないものも存在します。
oToBrite では、ISO20653 に基づく厳格な検証プロセスを実施し、単なるラボ試験の合格ではなく、過酷な実環境でも確実に動作するカメラだけを「真の IP69K」と定義しています。
1. IP6X(防塵保護)
カメラが完全な防塵性能を持つことを確認するため、以下の試験を実施します:
- 微細粉じん 2kg を使用
- 20サイクル(合計5時間) の粉じん試験
これは、屋外で常時ほこり・砂・泥にさらされる環境を想定したものです。試験後、センサー・レンズ・ハウジング内部に一切の粉じん侵入がないことが必須条件です。
2. IPX9K(防水保護)
防水性能については、さらに厳しい条件でテストします:
- 高圧水流:8,000〜10,000 kPa
- 高温水:75〜85°C
- 噴射角度:0°、30°、60°、90°
- 噴射距離:10〜15 cm
- 各角度 30秒間
これらは、農業・建設・鉱山用途の自律ロボットや車両で実際に行われる高圧・高温ウォッシュダウン を忠実に再現したものです。すべての試験において水や粉じんの侵入がなく、正常に動作し続けることが、
oToBrite における「真の IP69K」の条件です。
厳格な基準に基づく検証を行うことで、oToBrite のカメラは仕様表だけでなく、実際のフィールドでも長期にわたり信頼できる性能を提供できるよう設計されています。

まとめ
IP等級は単なる技術的な数字ではなく、カメラが実際の環境条件にどれだけ耐えられるかを示す重要な指標です。重機、建設・鉱山機械、農業ロボット、ロボタクシーなどの用途では、過酷な環境下で確実に動作させるために IP67 が最低条件 となり、IP69K が最適な選択 となります。IP69K は耐久性・安全性・運用効率を大幅に高めます。
ただし、すべての IP 等級が同じ品質で得られているわけではありません。各メーカーがどのように IP67 や IP69K を実現しているかによって、実際のパフォーマンスには大きな差 が生じます。
自動運転車や屋外モバイルロボット向けに「本当に信頼できる」カメラシステムを求めている場合は、oToBrite の IP69K カメラ製品をぜひご覧ください。過酷な環境でも妥協のない性能を提供します。
よくある質問(FAQs)
IP 等級とは何ですか?
IP は Ingress Protection(侵入保護)の略で、デバイスがどれほど「ほこり」や「水」から保護されているかを示します。
IPコードの2桁の数字は何を意味しますか?
1桁目は防塵性能、2桁目は防水性能を表します。
IP67 とはどのような等級ですか?
IP67 は「完全防塵」であり、1m・30分までの一時的な水没に耐えられることを意味します。
IP69K とは何ですか?
IP69K は「完全防塵」で、高圧・高温の近距離ウォータージェットに耐えられることを意味します。
IP67 は防水ですか?
IP67 は「耐水」レベルで、雨・水たまり・短時間の水没には耐えますが、高圧洗浄には対応していません。
IP69K は防水ですか?
IP69K は高圧水流から保護しますが、IP68 のような長時間の水中使用を想定したものではありません。
完全防水といえる IP 等級は?
IP68 など、連続的な水中浸漬に対応した等級が「完全防水」と見なされます。
全ての IP69K カメラが同じ方法でテストされているのですか?
いいえ。メーカーによって試験条件が異なる場合があります。厳しくない条件でテストされた製品は、実環境で性能が劣る可能性があります。
IP 等級はカメラの画質に影響しますか?
適切に設計されたカメラであれば画質に影響はありませんが、低品質なシーリングを使う製品は、画質低下を招く場合があります。
屋外モバイルロボットや自律走行車にはどの IP 等級が適していますか?
- IP67:通常のほこり・雨環境に適する
- IP69K:過酷な環境、高圧洗浄、極端な屋外用途に最適